9月議会が終わりました。
最終日、議員動議にて補正予算の減額修正案を提出し、賛成多数で可決成立しました。

修正内容などは以下の通りです。
大潟村議会で修正動議が提出されたのはここ20年ほどの間では一度もないのではないかというほど、珍しいことのようです。
(議会の意見に基づき、村当局側が修正や議案の取り下げを行ったことはありますが、議員側が動議を出したのは珍しいようです)
なお、今回の動議は私ともう1名の議員で行い、議場での説明は私が行いました。
ただ、当然ながら一人でできるわけもなく、実際の動議の準備にあたっては、予算案に反対する自分の意見を聞いて頂き、理解して動議に向けた準備を進めて頂いたたくさんの先輩議員の方、そして事務局のご協力あってのものです。ありがとうございました。
提出された補正予算と修正内容(関連部分)
歳入
- 繰入金(村の一般財源):264万円→変更なし
- 雑入(国事業による外郭団体からの補助金):536万円→削除
歳出
- 環境エネルギー費:もみ殻バイオマス熱供給事業体制構築支援業務委託料
800万円→264万円に減額
修正提案の理由
本予算は、新規法人を設立し、もみ殻を熱源とするボイラーによる温泉・ホテルへの熱供給事業を行うため、その設計や事業計画の立案を委託する事業で、当局側が提出した予算では財源の2/3が国の事業による補助となっています。
補助要件として、委託事業による計画立案後1年以内の熱供給事業開始が定められており、要件を満たさない場合は補助金返還の可能性もあります。
これまで議会でも勉強会を開催し、また当局側からも委員会などの場で説明がなされましたが、説明資料なども不足しており事業の全体像が明確に見えず、ボイラー本体の供給・サポート体制や技術面などで解決すべき点などもあり、事業化への課題もまだ多いと感じます。
また何より、現時点では、村民にこの事業の意義と内容が十分に理解されている状況にはないと考えます。
これらの点に関しては、今回の委託事業における計画立案とあわせて課題解決も行い、また、今後ボイラーの稼働に向けた準備と並行して村民への説明、理解を求める活動も行っていく、との当局側の説明は受けました。
しかし、もみ殻バイオマス熱供給事業に関しては、単に村の温泉やホテルに熱供給を行うという小さな事業ではなく、「2050年二酸化炭素排出実質ゼロの大潟村を目指す」と言う村の掲げるビジョンに沿って、村における農業の課題の解決、そして地球規模の環境問題の解決にも寄与する、とても大切な事業だと考えます。
その意義は理解し、事業自体の実施に関して反対するものではありません。
ただ、そのような大切な事業だからこそ、事業を成功に導くための問題点の解決、そして村民の理解を得るための作業は、委託事業完了後1年以内の事業開始という国の補助要件の期間に縛られて行われるべきものではなく、期間の制約を受けず丁寧に行う必要があると考えます。
従って、今回の事業計画の立案にかかる業務委託に関しては、補助要件による事業実施までの期間の縛りがない村の自主財源のみとした上で、まずは事業化を目指すべく村内での合意形成を図るためのデータ収集や事業概要の作成を行うべきであると考えます。
以上が、議会で動議内容を説明する際に議場で読み上げた内容ですが、問題点と改善して頂きたい点を箇条書きで補足します。
問題点
- 導入するボイラーのサポートや技術面、経営面などすべてにおいて事業化に向かうには不明点・課題が多い
- 本事業に関して、また村の環境政策全般に対して村民の理解が得られていない
- 委託事業と並行して課題の解決も行うとの説明を受けたが、今回国の補助金を活用し委託事業で調査を行うと、1年以内に実際にもみ殻ボイラーによる熱供給事業を開始しなければならない
改善を求める点(自分の考え)
- この事業は将来的に地域の余剰もみ殻を解消することや、さらにその先村内の住宅、農業施設への熱供給を行うなど、単に温泉・ホテルにボイラーで熱供給をするというだけの小さな事業ではないが、その点、まったく村民に理解がされていないので村民への丁寧な説明と理解の促進が必要である。
- 詳細な事業計画を立てる以前に、まだ課題となっている点を解決する必要がある。
- 上記の課題の解決については、1年以内などという期間の縛りをもうけずに行うべき重要な内容である。
- 従って、今回の予算案のうち村の独自財源分の264万円で、まずは村民への理解をもとめるため、また今後の事業化に向かうための前提となる、もう少し大まかな事業計画を作成し、将来ビジョンとあわせて村民への理解を求めるべきである。
(詳細な事業計画の作成及びそれに伴う国の補助金活用は、その先で行うべきである)
よくある質問(よくご指摘頂く内容)
この事業に関して村民の方とお話しすると、よく言われる点、個人的に理解している内容、個人的に考えている内容をお答えします(村の公式見解ではありません)
質問)そもそも村でもみ殻ボイラー事業が必要なのか?
大潟村では、稲作の副産物としてのもみ殻が多く出ており、暗渠や堆肥などで一部は活用されていますが、有償での処分が行われたり、また一部は野積みされた状態となっています。
現時点では野積みされているもみ殻は、暗渠や堆肥などに使われる資源として野積みされていますが、これが仮に産業廃棄物として判断された場合は、野積みしておくこと自体が許されなくなります。
様々なことが厳格化、またコンプライアンスが重視される中で、いつそのような指摘がなされるかはわかりません。
そのようなことを考えると、何らかの形でもみ殻を有効活用することが望ましいとは考えます。
なお、木質チップのように燃やして発電なども考えられますが、一般的にもみ殻を燃焼すると「結晶性シリカ」が発生し、これは一部では発がん性があるのではないかとも指摘されています。
そのため、「結晶性シリカ」をできるだけ発生させない形で活用し、且つある程度の熱源として活用できるのが現時点では給湯ボイラーとなっています。
質問)もみ殻ボイラーで採算がとれるのか?
まだ色々と明確ではない点もあり、これまでの村の試算にどこまで信ぴょう性があるのかという部分はありますが、初期投資で国の補助事業などを活用していけば、大きく利益は出ないものの多少の収益を上げながら、地元の余剰もみ殻の課題を解決できる可能性はあるのではないかと感じています。
ただ、繰り返しとなりますが、不明点は多いので、その点を明確にしてから事業化を行う必要があるとは思います。
質問)独自財源部分の調査費もなくすべきでは?
今年6月にもみ殻バイオマスの調査を行っているワーキンググループの調査結果を学ぶ勉強会がありました。
その結果、技術面などまだ課題は残っているもののだいぶ前進しており、課題が解決し、事業化されることで、もみ殻の有効活用や脱炭素に向けた取り組みに寄与できる可能性はあると思っています。
そのため、事業化に向けた調査自体は否定するものではない、との観点から調査委託費用として264万円は残すこととしました。
ただ、もみ殻ボイラーなんて必要ない、従って調査もする必要がない、と言うご意見がありますので、その点は、これまでの状況や将来性などを村民に丁寧に説明していくことが必要だとは思います。
質問)結局、温泉やホテルのためじゃないのか?
ホントそう思いますよね…(苦笑)
また、今まで、村民の一部からするとどう考えても採算が取れないような第三セクターの温泉・ホテルの事業について、村が多額の費用を投入している点は、本当に苦々しく思います。
その結果、本当に必要なものを導入する際にもゴリ押しなんじゃないかと信用されなくてオオカミ少年状態になっている、ということに村側にもしっかり気が付いて欲しいとは思います。
さて、今回の事業は、上に書いた通りもみ殻や導入を検討しているボイラーの性質上、給湯に用いるのが望ましいという点を考えると、現在灯油などを燃焼させていてボイラーの需要があり、それを代替することで事業としては採算性も見込みやすいので、温泉・ホテルと言う選択肢は、個人的には第一歩としてはいいのではないかと考えています。
ただ、村としては今後は、住宅やハウスなど農業施設への熱供給も将来構想としてあるようですが、その部分も明確でないため、また前例もあることから疑念を抱かれるのは当然だと思います。その点は村がしっかり説明すべきだと思います。


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